壊してしまう

私は誰が好きなのだろう。

 

結局、イケメンと付き合いたいだけ?

写真撮ってSNSに載せると、みんなが羨む。

それが気持ちいいだけなんじゃない?

 

私、昔からそうだから。

男はブランドって思ってたし。

だからこんなに揺れてるんだよ。

 

そんなにかっこよくない彼氏。

高身長でもない。

正直言って、見た目は全くよくない。

釣り合ってないってよく言われるし。それはありがたいことだけど。

関係はマンネリ化、昔の新鮮さもない。

そもそもの恋愛に対する価値観があってないのよ。

 

でも、好きだから

そう、好きだから付き合ってた

 

仲良くなって2年、付き合ってから1年

合計3年、一緒にいた

今、4年目に突入しようとしている

 

特になんの不満もなく、大好きで大好きで

そんな彼氏と付き合って、平凡だけど幸せな日常だった

 

一週間前までは。

たった1人の男に、壊された。

ううん、自ら壊したのかな。

先輩は、イケメンで高身長。

本当にかっこよくて、頭もよくて、優しくて面白くて、理想の彼氏。

その先輩と久しぶりにデートした。

いっぱいいっぱい可愛いって言ってくれて

先輩のホテルに行くまでに

ふいに手をつながれた

 

その時感じた

久しぶりにドキドキしてた

胸がときめくってこういうことだって

忘れてた感情

「帰らないで」

切ない目で、そんな顔で言わないでよ

嘘のくせに。好きでもないくせに。

 

次の日。

デートじゃないのに、ほかにも人がいるのに

目を盗んでは手を繋いでいた

ずっとずっと触れ合っていた

ハグをした

腕を組んだ

そして

 

そしてキスをしてしまった

 

私は浮気した

 

本気で愛してくれない、遊ばれるだけの関係なのに

惹かれてしまった

たった2日で

 

今までの3年はなに?

どんなに傷つけられてもどんなに苦しくて辛くて

毎日泣いていても

好きだったのに

 

たった2日目にして、最低の男に惹かれた

危険な関係という甘い蜜…

 

3日目、デート

お見送りの日

 

「好きになっちゃいますよ。ううん、もう好きかも」

「好きだよ、後輩としても、女性としても。

 でも、付き合えない。〇〇の彼女だから…ずるくてごめん」

 

分かってた。

あなたが女好きで、私がその罠にかかっただけ

本気で手なんか出すわけない

体目的。

私は抵抗もせず、ただデレデレして、挙句の果てには好きと言い出す始末

なんて都合のいい女。

 

恋人繋ぎをし、コートにつないだ手を入れ、身体を寄せ合い、街を歩く

 

おしゃれなカフェの中

静かで美しい、本当に美しい

その中で、ついに胸まで触られた

手は常に握り合い

窓から入る暖かい光の中で、罪を重ねた

 

はたから見たら、いちゃついているカップル

実際は、浮気現場

 

お見送りの時に、2回、頬にキスをした

「うまいね」

彼は私のキスを褒めた

口にしたときも、頬にしたときも。

 

「仙台に来た時、ホテル行こう」

 

さて。私はなんて返したか。

 

「行く」

 

…ほんと馬鹿でしょ。笑っちゃう。

 

セフレになりたいだけ。

なぜ私は彼のセフレになるのを拒めない?

 

理由は分かってる。

あの手にもっと触られていたいから。

もっと、もっと進んだらどうなるのか、知りたくて。

 

こんな人、絶対彼氏にしたくない

すぐ浮気する

そもそも彼氏いるの分かってるくせに手を出してくる時点で、たかがしれてる。

 

正直、こんな人だったのかと幻滅した

憧れの先輩だったから。

でも、私はいともたやすく落ちた。

甘い誘惑に負けた

 

何より、彼との時間が楽しくて仕方がなかった。

 

そして

彼氏と比べた。

 

正反対のデート

私は揺れている。

別れるか、別れないか…

 

なぜ別れたい?

先輩みたいな人がいい

恋愛観が合ってて、かっこよくて、高身長で、頭もよくて。

 

…結局、私は先輩と付き合いたいんじゃないの?

付き合えないからって、セフレになる道を選んだけど、

今度会ったら喜んでホテル行くけど、

好きだからじゃないの?

 

好きだけど無理なの分かってるからセフレになるんだよ

 

でもそれを隠し続けるのがつらいし

比べてしまうから彼氏と距離置いてんだろ。馬鹿か。

 

あー、彼氏も先輩みたいにイケメンで高身長だったらなあ。

って思ってしまうようになったからでしょ。

 

結局、私はイケメンで高身長が好きなのよ。

本当の愛とか、そんなの、一瞬で消えたもん。

 

 

目の前には、私のことを大好きって言ってくれる人がいるのに

捨てようとしてる

 

さあどうする。

 

どうしたらいいの…